片貝医院

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           二宮康明氏 簡単に作れる紙飛行機
 紙飛行機の胴体を作成する作業は、パーツの切り出しから接着剤の塗布、貼り
合わせと荷重、パーツのずれの修正、曲がりの修正、研磨、塗装に至るまで一切
気が抜けないものです。その中でこのように肩肘を張ることなく気軽に作れる機
体はまた魅力的です。



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 子供の科学誌1974年10月号から 先尾翼型競技用機 「 カナード・レーサー 」。
 先日、斎藤武夫さんの 「 カナード紙飛行機へようこそ 」 という本を読んでみて
あまりにもの美しさに唖然としました。中には20余年以上前に武蔵野中央公園で
お会いした葉阪さんの機体も紹介されていました。当時は先尾翼型機について熱
く語られた葉阪さんの話を聞いてもピンと来なかったのですが、この本でようやく
魅力がわかってきました。さっそく過去の子供の科学誌を引っ張り出してきて、特
に故吉田辰男先生の先尾翼型機を作成して紹介してみることにしました。


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           先尾翼型紙飛行機の魅力 2   「 マッハX 」
 吉田辰男先生が子供の科学誌1975年5月号に発表した先尾翼型機です。前翼
に前進角が、主翼に後退角が付いていてネーミング通り 「X」 字型をしています。
「君が紙飛行機のベテランならばゴムパチンコで発射できるように改造してみて
下さい。」 とありました。ベテランではなくてもフックぐらいは付けられますので付
けてみました。カタパルト射出では相当の高度を取れました。


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      先尾翼型紙飛行機の魅力 3  サンタクロース号 飛行空中ソリ
 吉田辰男先生が子供の科学誌1973年12月号に発表した先尾翼型機です。「 サンタ
クロースやクリスマスカードなどを乗せて飛ばすことのできる飛行ソリです。サンタのか
わりに手紙とか、いろいろなものを乗せて楽しんでください。( 乗せるものが重心位置
に合うようにできているので、重心の変化はありません ) 」 とありました。滞空競技や
造形美の追求だけが紙飛行機の楽しみではないことを実感する心躍らせる機体です。


meve
    先尾翼型紙飛行機の魅力 4  先尾翼型競技用機 「 惑星 」 
 吉田辰男先生の先尾翼型競技用機には「 カナード ・ レーサー 」、「 CR−U 」、
「 惑星 」 が知られています。それぞれ子供の科学誌1974年10月号、1976年12月
号、1980年8月号に掲載されました。「 惑星 」 は低翼機です。つまり、滑空速度が
速い先尾翼型で横安定の面で不利な低翼の競技用機ということになります。 機体
の設計や製作技術以上に調整の技量が重要だということでしょうか。


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    先尾翼型紙飛行機の魅力 5  二宮康明氏 「 ORVILLE 」
 AG社から出ているホワイト・ウィングスです。上の機体と同様に低翼の先尾翼型機
です。二宮先生らしく、前翼と主翼の取り付け部にもキャンバーを付けてあります。私
はクリアラッカーはかけますが、色ラッカーは使用しないのでコックピット部は色画用
紙を貼り合わせたものをはめ込んで整形します。( ギャラリー1の超音速ジェット機や
ロケットグライダーも同手法 ) また、キットから切り出したパーツは#1000 のサンド
ペーパーで縁の印刷線を消し取ってから貼り合わせれば きれいに仕上がります。


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       先尾翼型紙飛行機の魅力 6  「 エアロ ・ ミニカ 」
 吉田辰男先生が子供の科学誌1974年7月号に 消音・無公害エンジンつきの夢の
空飛ぶミニカーです、と紹介しています。オリジナルはコックピットの両面に犬と猫
を抱いた男の子と女の子が描かれていましたが、私はこれが苦手なので色画用紙
3枚を貼り合わせて はめ込み 整形しました。また、胴体後部のプロペラも drawing
でしたが、ここではせっかくですので二宮式のプロペラに置換しました。胴体前下部
の車輪の絵の部分はフックに置換しました。楽しい機体に仕上がりました。


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   先尾翼型紙飛行機の魅力 7  Space express 「 宇宙急行 」
 吉田辰男先生が子供の科学誌1979年10月号に発表した機体です。現在でこそ
滞空競技会の規定ではフックは紙製とされていますが、当時は針金やクリップを
差し込んでフックを付けていました。この機体は 「 子供の科学 」 誌史上では初め
て 「 紙製フック 」 を導入した点で意義のあるものです。しかし、胴体部品が後部
で2枚 ・ フックの部分でも4枚と、まだまだ強度の面では改善点があるようです。
現在 主流の 「 紙製フック 」 の原点として紹介します。


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      先尾翼型紙飛行機の魅力 8 斎藤武夫さんの先尾翼型機
 斎藤武夫さんのホームページや著書に触れて、斎藤さんの並々ならぬ先尾翼型機
に対する熱き想いを感じました。前翼の面積や主翼の上反角の角度、自重量と上昇・
滑空性能、損傷の具合や原因、強度の検討など、詳細なデータを積み重ねて科学的
に紙飛行機作りをなさっている姿勢に感服しました。その旨、メール致しましたところ、
光栄にも斎藤さん自ら設計した機体や葉阪 豊さんの設計した機体 4機の設計図を
送って下さいました。写真は斎藤さんの機体で先尾翼型機の完成型のひとつです。


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      先尾翼型紙飛行機の魅力 9 葉阪豊さんの先尾翼型機
 同じく先尾翼型機のひとつの完成型と思われる葉阪さんの先尾翼型機です。
前進角のついた主翼が特徴ですが、胴体曲線の美しいことも見逃せない魅力
です。20年ほど前に武蔵野中央公園にて葉阪さんにお会いした時には、様々
な先尾翼型機を見せて下さり、上反角の付け方やキャンバーの付け方の創意
工夫を教えてくれました。私の記憶が確かであれば、この機体は第10回木村
杯紙飛行機大会優勝機の 「 スワン 」 だと思います。


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      小千谷市 山本山 沢山ポケットパーク 菜の花畑にて 1
 平成19年4月30日。天候が良かったので家族を連れて市内の山本山に行って
きました。中腹には牧場があり、ここで久しぶりに紙飛行機を飛ばしてみました。
写真は「 カナード紙飛行機へようこそ 」 の著者 ・ 斎藤武夫さんの3枚翼型機
です。T尾翼の胴体プロフィールが大変美しい機体です。飛行中の姿も独特で味
わい深いものがありました。家内が 「本当に飛ぶの? これ 」 といっていました
が、見事に上昇しました。


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      小千谷市 山本山 沢山ポケットパーク 菜の花畑にて 2
 二宮康明先生の二段上反角つき競技用機 N-281 です。現在こそ主翼のフラッタ
を防止するために、こんなにスパンの長い機体は見当たりません。30余年以上前
に発表された機体ですが、初めて2段上反角を取り入れた機体、初めて胴体下部
に垂直尾翼を持ってきた新鮮な造形美を持った機体として、中学生の頃からの思い
入れがあります。飛行中の姿も美しいです。残念ながら、前述の理由でカタパルト
射出は思い切りできません。


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      小千谷市 山本山 沢山ポケットパーク 菜の花畑にて 3
 これも30余年以上前に発表された機体です。胴体の貼り合わせ枚数と太さと強度
の相関関係の研究が進み、現在ではこんなに太い胴体で競技用機と称するものは
見当たりません。( 写真 : 「 スカイ ・ ダック 」  室内競技用に設計された軽ハンド
ランチ ・ グライダー  設計:吉田辰男氏 発表:子供の科学 1974年8月号 ) 左右
別の主翼のパーツを中央で上反角と2面からなるキャンバーを同時に持たせて取り
付けるようになっていましたが、強度不足なので一般的な一段上反角にしました。


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         吉田辰男先生の滞空競技用機 1  「 銀河 」
 子供の科学誌1985年8月号に吉田辰男先生が発表した機体です。翼端にも小さな
上反角を持った二段上反角です。翼端は中心線に対して翼上面が軽く前方を向くよ
うに斜めに折り上げています。すなわち負の取り付け角が翼端に付いていることにな
ります。翼端失速防止効果をねらっているのでしょうか。私はパーツの縁の鉛筆線の
跡は消しゴムで完全に消し取ってから貼り合わせますが、主翼上面のキャンバーの
折目線だけは吉田機の特徴なので、むしろ故意に強調して濃く残します。


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    吉田辰男先生の滞空競技用機 2  「 リトル・チャレンジャー 」
 当時としては珍しく、大胆にも強い後退角の付いた翼を持つ競技用機です。吉田
辰男先生の設計で、子供の科学誌1979年6月号に発表されました。胴体のプロフィ
ールは一部変更して紙製フックにしてあります。本機の原型機は昭和54年2月4日
ハンドランチで2分54秒視界没の記録を持っているそうです。



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       吉田辰男先生の滞空競技用機 3  「 81−]U 」
 美しい曲線に囲まれた後退翼の競技用機です。1980年以降に発表された機体は
ほとんどフックが紙製になっています。本機は子供の科学誌1981年12月号に発表
された競技用機で、水平尾翼を胴体下に取り付ける手法を採っている吉田機に見
られるゴムカタパルト射出の際の不利を、胴体尾部に把手部分を設けて打開して
います。ゴムカタパルト射出を意識した機体構造となっていますが、第2回木村杯
紙飛行機大会ではハンドランチ部門で優勝している機体です。


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       吉田辰男先生の滞空競技用機 4  「 K8212 」
 「 81−]U 」 の1年後に発表された垂直上昇型 ・ 後退翼競技用機です。
微調整が難しく、垂直に上昇するものの垂直に落下することも度々ありました
が、うまく滑空に入った後に熱上昇気流をとらえて旋回する姿は独特で魅力的
でした。翼端の赤のワンポイントが本機の特徴です。残念ながら高性能紙飛行
機集では青インクになっていますが、吉田先生のオリジナルの色は赤でした。
赤ケント紙の主翼を上下から白色裏打ちパーツの間にはさんで作成しました。


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    吉田辰男先生の滞空競技用機 5  「 ベビー・フェニックス 」
 もうひとつ、後退翼の滞空競技用機。子供の科学誌1979年4月号に発表
された「 ベビー・フェニックス 」 です。細い胴体とアスペクト比の小さな曲線
の後退翼が特徴です。大変投げ上げやすく、高度を取りやすいので高校生
の頃に量産しました。くせのない素直な機体で、ハンドランチ用としては
吉田先生の最高傑作に属すると思います。


    

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   吉田辰男先生の滞空競技用機 6  「 スカイチャレンジャー 816 」
 子供の科学誌1981年6月号に発表された競技用機です。胴体、翼ともすべて
が直線で構成され、カッターで効率よく切り出せるので作成しやすい機体です。
吉田先生の機体には 強度よりもデザイン性を重視したものがいくつか見られ、
これも主翼の中央前部が割れているユニークなデザインです。大塚薬報1988年
5月号の誌上展で吉田先生の紙飛行機が特集されていて、その中のオリジナル
の816通り、主翼補強パーツと機首を赤色にして忠実に再現してみました。


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     吉田辰男先生の滞空競技用機 7  「 PHLG 」
 前者と同様にすべてが直線で構成されたペーパーハンドランチグライダー
です。オリジナルはハンドランチ用としては 胴体後部と主翼の強度が不足
しているように思われたので展開図は多少変更してあります。ベビーフェニ
ックスとともに投げ上げやすいくせのない機体です。



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        吉田辰男先生の滞空競技用機 8  「 はるかぜU 」
 子供の科学誌1985年4月号に発表された機体で、後に 1986年5月下旬に発行
された誠文堂新光社の「 めざせ世界一! 競技用紙飛行機集 」に収録されました。
( 現在では復刻版の 「 高性能紙飛行機集 」 が入手可能 )  低翼機は一般的に
横安定の面で不利なので競技用機としてはあまり使用されません。本機で実験して
みると、調整次第では競技用機と遜色のない飛行性能が得られることがわかります。
スケール ・ モデル風のきれいな機体です。


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        吉田辰男先生の滞空競技用機 9  「 ファイヤー・バード 」
 子供の科学誌1977年10月号に発表された吉田先生の正統派競技用機です。垂
直尾翼のファイヤーバード ( 火の鳥 ) マークのデザインが秀逸なので拡大してワ
ンポイントにしました。無駄のないすっきりしたラインでまとめられた大変格好の良
い機体です。オリジナルにはなかった紙製フックで空高く打ち上げると野球場でも十
分な広さではないことがわかります。( オリジナルの翼の取り付け台は、いわゆる
パーツ@Aについていましたが、主翼取り付け台はパーツEFに移しました。)


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     吉田辰男先生の滞空競技用機 10  「 チャレンジャーC 」
 子供の科学誌1984年4月号に発表された機体で第2回国際紙飛行機大会
滞空部門第2位入賞機です。吉田先生はプロフェッショナル滞空部門を飛鳥
改良型と本機で1、2位を、同曲技部門を親子機とリトルスパローで1、2位を
独占したことになります。( 親子機は大塚薬報1988年5月号に写真が掲載さ
されています。リトルスパローズは大変有名な吉田式切り折り紙飛行機で書籍
やHP上で広く紹介されています。)


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     吉田辰男先生の滞空競技用機 11  「 チャレンジャーB 」
 子供の科学誌1977年4月号に発表された機体です。「 競技用手投げペーパー
グライダー 」 となっています。きわめてユニークなガル型二段上反角の主翼と
翼端に下反角のついた水平尾翼を持っています。主翼面は3面キャンバーが
維持される設計図展開で同じ手法が他に見受けられないため、工作に熟練し
ていても正確に完成させるのには苦労します。梅雨が明けて野球場で試験飛
行する日が楽しみです。


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       吉田辰男先生の滞空競技用機 12  「 チャレンジャーA 」
 子供の科学誌1974年2月号で吉田先生が競技用機として発表した初めての機体です。
「 この機体はバルサ製のハンドランチグライダーに負けないほどよく飛ぶ高性能競技用
機です。」とある通り、当時、連載が始まったバルサ製HLGに対する強い対抗意識がう
かがえます。主翼の指かけと後部胴体の下方への突出は本機の特徴なので残す一方、
垂直尾翼に切り込みを入れる水平尾翼取り付け法と大きな迎え角は強度の点と宙返り
しやすい点で改良の余地があったため一部に改変を加えてあります。


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 とはいっても、バルサとケント紙では強度も軽さも違うので同じ土俵上では
滞空時間の面では勝負にならないでしょう。 私も一時期はバルサ製HLGを
作ったことがありますが、 現在では紙飛行機に専念しています。 紙の魅力、
すなわち、簡単に曲線が切り出せることや立体的造形も容易なこと、変形機
の実験ができることなどにとりつかれたからです。バルサ胴+紙翼のものが
手軽なので普及していますが、時間と労力をかけて丁寧に切り出したパーツ
を貼り合わせて作成した胴体を持つ機体こそ紙飛行機の真髄だと思います。


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   紙飛行機ならではの楽しみ 空中分離 「 ママエンドベビー機 」
 子供の科学誌1973年5月号の「 バードマン 」 という奇抜なデザインの機体
で連載を開始した吉田辰男先生の第2弾で、1973年6月号に発表されました。
空中で親機と子機が分離する姿は誰が見ても快感でしょう。子機に付いた4
つの爪で親機に引っかけるようになっています。ちなみに親機の方は1974年
2月11日にNHKの立ち会いの下で新宿住友ビル( 地上200m ) の屋上から
飛ばして 2750m の当時の世界記録を作ったことで有名です。


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   紙飛行機ならではの楽しみ 空中分離 「 親子機 N−991 」 
 本機は「 二宮康明の変形機10機選 」 に収録されていたものです。胴体に巻き
つけたゴムが上空でほどけて下げ翼が下がり、子機を分離する仕組みになってい
ます。下げ翼がエア・ブレーキの働きをして小さな滑空比で降下する点、下げ翼に
スリットが入っていて、主翼との間に気流を入れて子機を分離しやすくしている点、
アルソミトラ・マクロカルパを模した子機など、二宮先生らしいストイックな理論に満
ちた機体です。はめ込み式のコクピットの間にゴムを挟んで結び目を省きました。


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   紙飛行機ならではの楽しみ 二宮康明氏 「 リング翼カナード 」
 紙飛行機の醍醐味の一つに、このような変形機を簡単に造形できる点が挙げ
られます。本機は「 二宮康明の変形機10機選 」 に収録されていたもので、旧版
「 よく飛ぶ紙飛行機集 第3集 」 の 「 わりばし飛行機 リング翼機 」 を全紙製に
昇華させたものと解釈しています。上昇性能も比較的良好で二宮先生の傑作機
のひとつです。


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   紙飛行機ならではの楽しみ 二宮康明氏 「 スペース・シャトル 」
 同じくリング状の尾翼を持った機体です。子供の科学誌1971年1月号に発表され、
旧版 「よく飛ぶ紙飛行機集 (第1集) 」 にも収録されていました。1971年は NASA
がアポロ計画に続く宇宙開発計画としてスペースシャトルに着手した頃でしょうか?
初めて打ち上げられたのは1981年4月12日ですから、この機体はその10年も前に
発表されたことになります。二宮先生の宇宙に対する夢を紙飛行機として具現化し
た同氏の最高傑作のひとつで、紙飛行機の楽しみの真骨頂がここにあります。


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